• 2018.09.25 Tue
  • 新潟市の食べどころ
  • 浦島 茂世

東京から日帰りで楽しむ、新潟の街と歴史と水と土の芸術祭<後編>

新潟砂丘の上一帯は、NSG美術館やゆいぽーとのほか、小さな展示会場が密集しているエリア。どこも徒歩で行けるのがありがたい。もともと、高台で風光明媚な土地で、昔から別荘や料亭が栄えていた。

会場となっている砂丘館は、もともとは日本銀行新潟支店長役の旧宅。旧齋藤家別邸は新潟の財閥のひとつ齋藤家の別荘だった。風情ある庭園や建物を見るだけでも楽しい。

13_古川知泉砂丘館の庭にある古川知泉《Rain Tree(降り注ぐ恩寵)》

14_砂丘館池内晶子同じく砂丘館の池内晶子《Knotted Thread》は、新潟県村上市産の絹糸を使っているという

 

15_斉藤家別館

斉藤家別館は、日本庭園も見どころのひとつ。冷やし甘酒をいただきながらぼーっとするだけでも楽しい!

 

ランチタイムは砂丘を降り、信濃川を渡って野内さんのおすすめのお店、とんかつ政ちゃんでタレカツ丼。新潟では、トンカツは醤油をベースにみりんや砂糖を加えたタレにくぐらせて食べるのがデフォルトなのだそう。これが甘じょっぱくてなかなかおいしい!

16_ランチ新潟市民のソウルフード、タレカツ丼。ご飯との相性もばつぐん

 

そして、食後は近頃熱いという沼垂テラス商店街へ。

17_沼垂の街古い長屋をそれぞれのお店がリノベーションしている沼垂テラス商店街

 

新潟駅からほどちかい沼垂の街は、かつて港町の市場として栄えていた場所。一時期はかなり閑散としていたものの、その渋い雰囲気と安い家賃がヤングな人たちに注目され、カフェや雑貨店、花屋などが立て続けに回転、現在は新潟でもっとも盛り上がっている地域になっている。

18_プリン「ISANA」は、自家製プリンが絶品でした

19_沼垂カフェ外観もなかなか素敵な「ISANA」

そのなかにある「ISANA」は、沼垂ブームに火をつけたカフェ&オリジナルメイドの家具工房。ここの手作りプリンがおいしいこと!

 

水と土の芸術祭は、新潟の街全体が会場なので、気の赴くまま、食欲の赴くままに「ちょっと寄り道」ができるのが楽しい。寄り道が多ければ多いほど旅は楽しくなるものだしね。

 

そして、最後の最後にメイン会場の「大かま」へ。ここはかつて、魚市場の競り場だったところ。巨大なかまぼこの形をしているから大かまと呼ばれているそうだ。

この広い会場を存分に使った塩田千春や遠藤利克ら8名の作品は圧巻の連続。遠藤利克にいたっては、コンクリートの床を掘り、さらに炎まで出してしまっている。

20_塩田千春塩田千春《どこへ向かって》

 

21_遠藤利克遠藤利克《Trieb―地中の火》

 

そして、この会場でとにかく心惹かれたのは岩崎貴宏の《untitled》だった。一見すると無造作に、実は綿密に計算されて作られている水たまりの上に信濃川の上にかかる萬代橋が架けられているのだ。

23_岩崎貴宏岩崎貴宏《untitled》

22_岩崎ヨリ岩崎貴宏《untitled》

新潟マニアの野内さんによると「現在の萬代橋は3代目でRC造。初代と2代目は木造だった。この作品は当時の初代の橋を綿密に計算している」とのこと。水に写り込む橋脚のすがたが美しく、ずっと見ていてしまった。

24_岩崎貴宏海老のひげ昔の絵葉書にも橋と一緒に写り込んでいたというタワーは、トロ箱のなかにあった海老のヒゲ製

 

そんなこんなで、あっという間に1日が終了。18時台の電車で東京へ。水と土の芸術祭は何回か訪れているけど、新潟という街を作った「水と土」の意味を真剣に考えたのは今回が初めてだった。

芸術家たちは、新潟に潜むどこか「とんがったもの」を瞬時に捉え、作品として私達に提示してくれている。その作品をきっかけに、私達は新潟について深く思索を深めていくのだと感じた。そう、芸術祭はアートを純粋に楽しむだけでなく、その土地について深く考えるきっかけを作ってくれる素敵な装置なのだ。

 

まもなく開港150周年を迎えるという新潟、もっと深く知りたくなってきた。今度はもっと時間をかけて、水と土の芸術祭を楽しみ、新潟そのものを深く知ってみようと思う。

 

浦島 茂世
浦島 茂世
美術館訪問が日課のフリーライター。時間を見つけては美術館やギャラリーへ足を運び、内外の旅行先でも美術館を訪ね歩く。Webや雑誌など、幅広いメディアで活躍中。

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