• 2018.09.20 Thu
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土と水の新潟へ!

土地の名前というのは、多かれ少なかれその風土を想起させる。とはいえ、大概私はその由来など考えてみようともしないのだが、新潟は「潟」に他ならない水と土の場所だった。

新幹線Maxときに乗り、約2時間。私は新潟駅へやってきた。

小雨がぱらつく駅前には蒼井優が煎餅を手にする広告がでかでかと貼られていて、そうだ、ここは米どころ新潟なのだと思い至る。

まずは、腹ごしらえをしようとガイドブックを開き、レストラン「土筆」へ入ると、そこにも日本酒がずらりと並ぶ。壁には新潟の古地図が貼られていて、迫り出すような格好で干拓された「潟」には碁盤の目のような道が描かれていた。

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「水と土の芸術祭」メイン会場万台島多目的広場通称「大かま」も、かつては「新潟市水産物卸売市場」。

アート作品の間をくぐり抜けるようにして巡ってゆくと、開いた窓の向こうに信濃川とそこに浮かぶ船、幾つもの倉庫が覗いて見えた。

川面が近くて、驚く。

千年以上の昔から、信濃川と阿賀野川の河口地を船が行き来したそうで、江戸時代には北前船の寄港地、日本海側最大の港町として栄えたという。

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展示会場を辿ってゆくと、砂丘エリアへ辿りつく。

海や砂のかわりに見えたのは、グミや黒松の続く巨大な防砂林だった。日本海の巨大な荒波は美術作品の中にだけあった。

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「ゆいぽーと新潟市芸術創造村・国際青少年センター」「NSG美術館」「砂丘館」。

 

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作家、坂口安吾の「風の館」で安吾の生原稿を拝んだ後、豪商齋藤家の別邸を訪れる。

その頃には雨もやんで陽が射しはじめ、開け放たれた窓の向こうに眺める回遊式庭園は艶やかに輝いていた。

庭を眺めながら、甘酒を一杯やる(ノンアルコールだけど)こともできるというので、注文をした。

お盆に載せられやってきたのは、カクテルグラスに入れられた冷えた甘酒と、おかき。米&米!やっぱりここは米どころ。

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アート作品を手がかりにぐるりと巡ってみると、ここが水と土の場所なのだということを、くっきり体感できる。

たとえいま目の前に広がるのが、決して古い建物ばかりでなくても。

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新潟駅から越後湯沢駅まで、アーティストが車内や外装を手がけた世界最速の美術館「現美新幹線」が走っているので、それに乗った。車内で佐渡クリームチーズのレモンケーキを頬張りながら、また新潟へ行きたいと、稲がたわわに実る景色を眺めて感慨に浸る。

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そうしたら翌日東京へ戻る際、越後湯沢から新幹線を反対方向に乗り間違えて、気づいたら新潟駅にいた。というわけで、あまりにも早急に私の願望は実現してしまったのでした。

こうなったらと、新潟駅の駅中で寿司やらのっぺい汁などを、たらふく食べた。

またこの地を訪れる日は、そう遠くない予感がする。

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小林エリカ
小林エリカ
小説「マダム・キュリーと朝食を」(集英社)で第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補に。"放射能"の科学史を巡るコミック「光の子ども1,2」、アンネ・フランクと実父の日記を巡るノンフィクション「親愛なるキティーたちへ」(共にリトルモア)、作品集「忘れられないの」(青土社)、短編集「彼女は鏡の中を覗きこむ」(集英社)など。

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