• 2018.05.21 Mon
  • 芸術祭のみどころ・歩き方
  • 近藤 ヒデノリ

新潟市「水と土の芸術祭2018」MEGA BRIDGE—つながる。出会う。交ざり合う。

Local.Biz編集長の近藤ヒデノリです。広報施策に関わらせて頂いている新潟市「水と土の芸術祭2018」が、いよいよ今年7月14日から10月8日まで開催されます。先日、東京で行われた記者会見をもとに今回の「水と土の芸術祭2018」を紹介します。

「私たちはどこから来て、どこへ行くのか ~新潟の水と土から、過去と現在(いま)を見つめ、未来を考える~」を基本理念として2009年に始まり、4回目の開催となる「水と土の芸術祭2018」。今回の総合ディレクターは、美術評論家の谷新さん。信濃川や阿賀野川などの大河と海、水田の街、港など「水と土」との関わりをアイデンティティとする芸術祭の新たなコンセプトとして、「メガブリッジーつなぐ新潟、日本に世界にー」を掲げています。

 

芸術祭が、新潟と世界を、市民を、アートと社会とつなぐ架け橋に


s【梶井照陰①】NAMI2018

NAMI(2018)/梶井照陰

 

世界各地で分断がすすむ時代に、芸術祭が文字通り巨大な「架け橋」となることを目指すー「メガブリッジ」には3つの意味が込められています。1つは、新潟と日本の各地や世界を結ぶ架け橋に。2つめが市民を結ぶ架け橋になること。3つめが、アートと自然、都市、社会などすべての対象に張り渡される架け橋となることを試みます。

 

s【松井紫朗②】君の天井は僕の床

君の天井は僕の床/One Man‘s Ceiling is Another Man’s Floor 2011
photo : Shiro Matsui

 

今回のアートプロジェクトのコンセプトは、「地水火風という4元素とそれによって育まれる生命」と「環日本海」。新潟市街の中心に位置し、市民に「大かまぼこ」として親しまれてきた広大なスペース、万代島旧水揚場跡地をメイン会場に、市内18会場で伊藤公象、岩崎貴宏、塩田千春、冨井大裕、松井紫朗、ナウィン・ラワンチャイクンなど38名の作家の作品が展示される予定です。

会場のひとつであるNSG美術館では、中国・韓国・ロシア・日本の作家による海の波などの水景を表現した作品を展示予定。アート・ディレクターを務める塩田純一さんは語ります。
新潟の地政学的な面として、中国、韓国・ロシアと対している。新潟の将来はこれらの国との交流なくしては未来がない。アートをつかって、そこに架け橋をかけていきたい。

 

市民参加ではなく、市民が主役の芸術祭—84件の市民プロジェクト


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水と土の文化創造都市 市民プロジェクト 臼井アートプロジェクト2016

 

そして、今回の「水と土の芸術祭2018」の大きな特徴は、過去3回の開催を通じて大きく育ってきた「市民の力」。公募で集まった84件もの市民が企画・運営する様々なプロジェクトが市内全域で展開予定です。市民プロジェクトのディレクタ−、藤浩志さんは言います。
水と土に育まれてきた大地に、市民の力が芽吹いている!アーティストと一緒に自分たちもやってやろう!という市民たちがたくさんいる。市民参加ではなく、市民が主役。

 

そこで、今回はウェブサイトやポスターなどのメインビジュアルでも市民を主役に。新潟の市民たちー日本人だけでなく、外国人も、様々な職業の、健常者も、非健常者も等価に登場頂いています。

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こどもが自ら学び、発見する環境を引き出すーこどもプロジェクト


【ハヤシヤスヒコ②】006_workshop_003

パラモデルといっしょにプラレールで遊ぼうvol.05
kyoto art center [ kyoto ] 2006 © / photo: paramodel

 

同じく藤浩志さんがディレクターを務める「こどもプロジェクト」では、小中学校の先生がコーディーネーターとなり、ハヤシヤスヒコ(パラモデル)などのアーティストと共に、こどもが自ら学び、発見する環境を引き出すワークショップやツアーなどを開催します。藤さんは語ります。
こどもたちが、常識を超えるほどに何かに向き合うアーティストの態度や感性に出会うことで、発見と可能性の種が連なっていってほしい

 

大友良英と市民100人による即興演奏ほか、新潟の「食」や「農」「伝統芸能」「おどり」もーにいがたJIMAN


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水と土の芸術祭2015 撮影:中村脩

 

「にいがたJIMAN」では、音楽家の大友良英が、市民100人に「自慢の音が出るもの」を持ち寄ってもらい、即興演奏をする「オーケストラNIIGATA!」のほか、藤田貴大(マームとジプシー)が演劇ワークショップを通じて市民の水と土にまつわる記憶から物語を生成、演劇作品として発表予定。

 
新潟の芸術祭に来たら、まずはお酒を飲んでください

と記者会見後に日本酒を飲みながら語ってくれたのは、総合ディレクターの谷新さん。「舌で味わうのではなく、脳で味わうレベル」と力説されるのも頷けるほど、新潟の酒はほんとうに美味しい。他にも、新潟の水と土がもたらした魚、米、野菜・・・豊かすぎて絞りきれない「食」や「農」の魅力。今年で50周年を迎える万代太鼓をはじめとした「伝統芸能」「おどり」など新潟JIMANの数々も紹介される予定です。

ベネチアやドクメンタ、ミュンスターをはじめ、日本でも各地で芸術祭が乱立している今、「水と土」というアイデンティティのもと、市民を主役に、アートだけでなく、食や農、伝統芸能などアート以外のジャンルとも架け橋となっていくことを目指す「水と土の芸術祭2018」。市民にも社会にも開かれたフラットな芸術祭は、これからのアートが社会に向けて果たしていくべく役割の1つを体現していると思っています。

東京から新潟へは、新幹線で2時間ほど。越後湯沢駅から新潟駅までは「世界最速の空間で芸術鑑賞ができる「現美新幹線」もあり、参加アーティストのパラモデルの作品なども体験可能です。また近隣では大地の芸術祭も同時開催される。これを機に新潟に訪れてみてはいかがでしょうか?

 

新潟開港150周年記念事業「水と土の芸術祭2018」

会期:2018年7月14日〜10月8日
会場:新潟県新潟市内全域(メイン会場:万代島多目的広場、サテライト会場:ゆいぽーと 新潟市芸術創造村・国際青少年センター)
電話番号:025-226-2629
料金:パスポート 一般 1500円 / 学生・65歳以上 1000円
※前売りパスポート、単館チケットの販売あり。

水と土の芸術祭2018 ウェブサイト
http://2018.mizu-tsuchi.jp/

 

近藤 ヒデノリ
近藤 ヒデノリ
Hidenori Kondo 株式会社 博報堂 ブランドイノベーションデザイン局 クリエイティブプロデューサー、編集者 Local.Biz編集長、FUTURE+DESIGN編集長 CMプランナーを経て、近年は「クリエイティブ×サステナブル」を軸に企業や自治体などのブランディングやビジョン開発、コミュニケーションやメディア開発を行う他、個人としても地域共生のいえ・KYODO HOUSEを拠点に、都会の持続可能で豊かな新しいライフスタイルの実験・発信を行っている。最近の主な仕事に、カゴメ「トマトの会社から、野菜の会社に」「野菜生活」、江戸東京博物館「EDO→TOKYO VISION」、新潟市「水と土の芸術祭」、ヤフー「REUSE JAPAN」など。 編共著に『都会からはじまる新しい生き方のデザイン- URBAN PERMACULTURE GUIDE』、『別府現代芸術フェスティバル 混浴温泉世界―場所とアートの魔術性』『これからを面白くしそうな31人に会いに行った』など。

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