2018メッセージ

MEGA BRIDGE つながる。出会う。交ざり合う。

2009年から始まり今年第4回展を迎える「水と土の芸術祭」は、新潟市という都市名ではなく「水」と「土」という、生命の誕生を促し育んできた根源的物質「四元素」の中心的物質を表題に掲げていることを特異としています。

新潟は、まさに「水」と「土」がせめぎ合う境界領域に生まれました。信濃川、阿賀野川の両大河が大量の水と土砂を運び、沿岸では延長70kmにもおよぶ日本最大級の砂丘列が大河の流れを阻んできました。この中で人々は、その恵みを享受する術を学び、脅威を削る試行錯誤を重ね、その英知を脈々と受け継いできました。それは、人類誕生以来の一つの縮図であり、ゆえに新潟が育んできた文化は人類共通の英知であると考えます。

「私たちはどこから来て、どこへ行くのか~新潟の水と土から、過去と現在(いま)を見つめ、未来を考える~」という、継続する基本理念のもと、今回は「メガ・ブリッジ─つなぐ新潟、日本に世界に─」というコンセプトを設けました。新潟と日本各地、そして世界を結び、市民同士を結び、新しい視点、感性を育む壮大なアートの架け橋です。多彩なアプローチでこれまでにない新潟市の魅力を発信していきます。

メッセージ

実行委員長

篠田 昭Akira SHINODA

新潟市長

新潟市は2009年、初の取り組みとなる「水と土の芸術祭」を開催しました。3年に1回の開催を続け、今回で4回目を迎えます。なぜ、新潟市で「水と土」なのでしょうか。

私たちは2005年までに近隣15市町村が一緒になり、2007年には政令指定都市を誕生させました。新・新潟市は、本州日本海側で最大の機能を持つ港町と、日本一の美田地帯が一体化したエリアです。双方は共に日本一の信濃川と、それに次ぐ水量を有する阿賀野川という二つの母なる川から育てられた地域です。

日本一大量の水と、多様な土からつくられた地域に私たちは暮らしていることに気づき、新・新潟市のアイデンティティーを「水と土」に求めることにしました。「日本一の水と土」との共存は生易しいものではありませんでした。先人たちは湊町に堀を巡らし、悪水のたまる低湿地には分水路や大規模排水機場をつくって美田へと変えました。

この水と土の闘いを後世に伝えることは、新潟市民の使命です。「私たちはどこから来て、どこへ行くのか。そして、私たちは何者だ」との問いかけを芸術祭の基本に置き、市内各地に展開するアートで、「水の記憶」と「土の匂い」を探ることにしました。

芸術祭を準備する過程で、新潟の素晴らしさに改めて気づきました。日本一の水と土の闘いの疲れを癒し、豊穣を祈るためか、市内各地には爆発的な祭りや、伝統的な神楽、踊りが数多く伝わっているのです。芸術祭は、それらを掘り起し、光を当てる役割を果たしました。新たな文化創造との動きと合わせ、市民が主体となり各地で実施される市民プロジェクト、こどもプロジェクトは新潟の誇りです。

芸術祭を契機に文化創造のウエーブが起こり、2015年には「東アジア文化都市」の日本代表都市に選ばれました。今後も食をはじめとした「新潟の暮らし文化」をシビックプライドにつなげていきます。

総合ディレクター

谷 新Arata TANI

美術評論家

2009年から始まり今年第4回展を迎える「水と土の芸術祭」は、新潟市という都市名ではなく「水」と「土」という、生命の誕生を促し育んできた根源的物質を表題に掲げていることを特徴としています。

新潟は、まさに「水」と「土」がせめぎ合う境界領域に生まれました。信濃川、阿賀野川の両大河が大量の水と土砂を運び、沿岸では延長70kmにもおよぶ日本最大級の砂丘列により数多くの潟湖が形成されました。この歴史のなかで先人たちは、「水」と「土」の恵みを享受する術を学び、脅威を削る試行錯誤を重ね、その英知を脈々と受け継いできました。それは、人類誕生以来の一つの縮図であり、ゆえに新潟が育んできた文化は人類共通の英知であると考えます。

「私たちはどこから来て、どこへ行くのか~新潟の水と土から、過去と現在(いま)を見つめ、未来を考える~」という、継続する基本理念のもと、今回は「メガ・ブリッジ─つなぐ新潟、日本に世界に─」というコンセプトを設けました。新潟と日本各地、そして世界を結び、市民同士をつなぎ、新しい視点、感性を育む壮大なアートの架け橋です。多彩なアプローチでこれまでにない新潟市の魅力を発信していきます。

アート・ディレクター

塩田 純一Junichi SHIODA

新潟市美術政策アドバイザー

アート・プロジェクトにはふたつの柱があります。

ひとつは古来、世界を構成する四元素と考えられてきた地(土)、水、火、風(大気)に焦点をあてるものです。今日の作家たちのなかにはこれら自然的要素=素材と対話し、あるいはそれらと人間との関係を象徴的に示そうとする作家たちがいます。彼/彼女らによる渾身の作品は、芸術とはなにかという根源的な問いへといざなうものとなるでしょう。

いまひとつは日本海に面した新潟の過去と未来に関わるものです。古くから新潟はこの海を通じた交易で栄えてきましたが、いまこの海は極度の国際的緊張のもとにあります。中国、韓国、ロシアの作家たち、そしてこれらの国々と交流し、異文化を生きる日本の作家たちを紹介します。それは分断の海に創造力の橋を架ける試みにほかなりません。

大かま、芸術創造村、天寿園等にならぶ作品の数々は、新潟と芸術のゆくえを見すえるものとなるでしょう。

市民プロジェクト・ディレクター/こどもプロジェクト・ディレクター

藤 浩志Hiroshi FUJI

秋田公立美術大学副学長/美術家

[市民プロジェクトについて]

自分の感性が活きる活動を自由に、好きなようにやって行くのは難しい。地域社会のためとか家族のためとか、会社のためとか、学校のためとか、与えられた環境の中での様々な立場での活動は実現できる。しかし、その立場を離れて自分がやりたいことを、自身の感覚の開花のために、興味関心に寄り添って活動を重ねることについて、地域社会は優しくなかった。活動が許される状況が、時間が、きっかけがなかっただけなのかもしれません。市民プロジェクトという環境では感性から芽吹いた活動が新潟の全域で動き出しています。勇気を持ってその現場に足を踏み入れ、体験者になってください。

[こどもプロジェクトについて]

近年は、学校教育の現場のみならず、大学や美術館においても、教育から学習へと根本的な考え方が変化しています。過去の価値観を教え、育ててきた現場では、こどもが自ら学び、発見する力を引き出す環境が求められています。こどもプロジェクトでは、こどもたちと常識を超えるほどに何かに向き合うアーティストの態度を、学校の先生がコーディネーターとなってつなぎます。今まで経験したことのなかった感性に出会うことで、数多くの発見と可能性の種が連なってゆくことを想い描きます。稀なる才能がぶつかる現場を目撃してください。